岸田首相、ゼレンスキー氏と会談 広島サミット参加表明

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Nikkei Online, 2021年11月20日 5:20更新


岸田文雄首相は21日、ウクライナの首都キーウ(キエフ)を訪問しゼレンスキー大統領と会談した。主要7カ国(G7)の議長としてウクライナへの「揺るぎない連帯」を強調した。殺傷能力のない装備品3千万ドル(40億円程度)相当を供与する。ゼレンスキー氏は広島サミットへのオンライン参加を表明した。

首相のウクライナ訪問は2022年2月にロシアが侵攻を開始してから初めて。戦闘が続く国・地域を日本の首相が訪問するのは第2次世界大戦後初の事例となった。

東アジアでも中国の軍備増強や台湾有事への懸念が強まる。G7議長として法の支配の重要性を国際社会に訴えるべきだと判断した。中国とロシアによる首脳会談の最中のキーウ入りには、中国の仲介外交に対抗する狙いもある。

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首相は日本時間21日午後7時ごろ、キーウに到着した。ゼレンスキー氏との会談に先立って多くの民間人が殺害されたキーウ近郊のブチャを訪れた。教会で犠牲者を追悼して献花し「強い憤りを感じる」と述べた。

ウクライナの首都キーウの鉄道駅に到着した岸田首相(手前右から2人目)=共同

首脳会談後にそろって記者会見に臨んだ。ゼレンスキー氏は「岸田首相は真に強力な国際秩序の擁護者だ」と述べた。「日本の国際秩序をまもるためのリーダーシップに感謝している」と語った。

首相はロシアの侵攻を非難し、ウクライナへの連帯と揺るぎない支援を伝えた。ロシアによる侵攻と力による一方的な現状変更を拒否し、法の支配に基づく国際秩序を守り抜く決意を確認した。

ウクライナ支援と対ロシア制裁の継続を表明し、核の使用に反対すると確かめた。殺傷能力のない装備品は北大西洋条約機構(NATO)の基金を通じて提供する。エネルギー分野で4.7億ドルを供与する。

日本とウクライナの関係を「特別なグローバルパートナーシップ」に格上げすることで合意したと発表した。

首相は日本時間21日未明、訪問先のインドからウクライナ隣国のポーランドへ民間チャーター機で向かった。

空港があるジェシュフから車でポーランド南東部のプシェミシル駅に行き、列車でウクライナに入った。バイデン米大統領が2月に訪問したときと同じ経路だった。

米英など他のG7首脳はすでにキーウを訪問した。現地入りしていないのは首相だけだった。首相は1月にゼレンスキー氏と電話協議した際、訪問の要請を受けて「状況も踏まえて検討したい」と語った。

首相は22日にポーランド首脳とも協議し、23日朝に帰国する。 当初は21日に政府専用機で日本に向かう予定だった。

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首相「ウクライナと揺るぎない連帯」 装備品やエネ支援

Nikkei Online, 2021年11月20日 10:30更新

岸田文雄首相は21日、ウクライナの首都キーウ(キエフ)を訪れゼレンスキー大統領と会談した。「日本の揺るぎない連帯」を伝えた。殺傷能力のない装備品の支援へ3千万ドル(40億円程度)を出す。エネルギー分野などで4億7千万ドル(620億円ほど)を無償供与するとも言明した。

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ゼレンスキー氏は首相の招待で5月に広島で開く主要7カ国首脳会議(G7サミット)にオンラインで参加すると約束した。

首相のウクライナ訪問は2022年2月にロシアが侵攻してから初めてだった。会談後にはゼレンスキー氏と食事をともにし、信頼を深めた。G7の首脳が全員ウクライナに赴き、国際社会が結束してロシアに対峙すると示した。

ゼレンスキー氏は会談で首相について「国際秩序の強力な擁護者で、ウクライナの長年の友人だ」と歓迎した。会談後の共同記者会見で「国際的な安全保障を守るためのリーダーシップが重要なときに訪問が実現した」と述べた。

首相は侵攻を「国際秩序の根幹を揺るがす暴挙だ」と非難した。ロシアによる核の威嚇に反対した。広島サミットで「法の支配に基づく国際秩序を守り抜く決意を示したい」と誓った。

「今後も日本ならではの形で切れ目なくウクライナを支える」と話した。装備品支援は北大西洋条約機構(NATO)の基金を通じて実施する。ウクライナと機密情報を共有しやすくする情報保護協定の締結へ調整を始めると一致した。

ウクライナとの関係を「特別なグローバル・パートナーシップ」に格上げし、共同声明を発表した。

「ロシアによる違法で不当でいわれのない侵略を可能な限り最も強い言葉で非難した」と明記した。「欧州・大西洋のみならずインド太平洋やそれ以外の地域における安全や平和、安定への直接的な脅威だ」と強調した。

「ロシアに対する制裁を維持・強化することが不可欠だ」と記し、第三国が制裁の回避に使われないように取り組む意向を盛った。

首相のキーウ入りは中国とロシアによる首脳会談とタイミングが重なった。中国の仲介外交に対抗する意味を持つ。

声明には中国を念頭に「東シナ海や南シナ海情勢への深刻な懸念を表明し、力や威圧によるいかなる一方的な現状変更の試みにも強く反対した」と書き込んだ。「台湾海峡の平和と安定の重要性」に触れた。

首相は日本時間21日未明、訪問先のインドからウクライナ隣国のポーランドへ民間チャーター機で出発した。南東部のプシェミシルから列車でウクライナに向かった。インドへの同行記者団には明かさずに移動した。

キーウで記者団に「安全対策などの観点もあり厳格な情報管理をした」と説明した。ロシアに事前に伝達したかを問われ「外交上のやりとりなので答えは控えたい」と発言した。

22日にポーランドのドゥダ大統領とモラウィエツキ首相とそれぞれ会談する。23日朝に帰国する。


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