築地再開発、東京駅めざす「空中回廊」

 地下鉄新駅はスタジアム近く


Nikkei Online, 2026年2月13日 2:00

中央に扇形の屋根のスタジアム、浜離宮恩賜庭園に面した
南側にホテルなどが建つ計画(イメージ)

東京・築地の再開発エリアと東京駅周辺を「空中回廊」で結ぶ構想が進んでいる。2025年に廃止した東京高速道路(KK線)とつながるように半地下の首都高速道路に「蓋」を設け、歩行者デッキも新設して歩いて行き来できるようにする。地下鉄新駅も誕生する築地は東京の新たな交通の要衝へと変貌する。

築地再開発は旧築地市場跡地(東京・中央)の都有地に三井不動産をはじめとする企業連合が約9000億円を投じ、5万人収容のスタジアムや高層ビルなどを建設する。広さはおよそ19万平方メートルに及び、30年代前半以降に順次開業する。

スタジアムやオフィスと並ぶ再開発の重要テーマが交通網の充実だ。隅田川沿いなどに船着き場を設けるほか「空飛ぶクルマ」の発着場も整備する。都は40年ごろまでに東京駅から銀座、豊洲、有明を結ぶ地下鉄新線の開業を目指しており、再開発エリアには「新築地駅(仮称)」を設置する。

新駅はスタジアム北側を通る予定の高速道路晴海線の地下に建設する。すでに幹線道路の環状2号線は再開発エリアを東西に横断し、都心と臨海部を結んでいる。都の高橋竜太郎・築地まちづくり推進担当部長は「築地は都心とベイエリアをつなぐ接点で、陸・海・空の玄関口として東京の交通結節点に変わる」と話す。

再開発エリアの地下には都が計画する地下鉄新線の「新築地駅(仮称)」ができる(イメージ)

公共交通の整備に加え、都や中央区は再開発エリアと東京駅周辺を歩いて行き来できる「歩行者ネットワーク」を構築する構想を進める。廃線となったKK線は京橋・八重洲から有楽町・銀座を経て新橋・汐留に至る。都はKK線の上部を歩行者中心の空間として再生する「Tokyo Sky Corridor(空中回廊)」の計画を掲げる。

KK線の汐留付近と再開発エリアの中間を通る首都高・築地川区間は、半地下の道路の上空を蓋で覆う「覆蓋化」工事を進める。首都高の上を歩けるようにし、歩行者ネットワークを延長する。

中央区は築地再開発と首都高・築地川区間をつなぐ歩行者デッキを構想する(イメージ)

再開発エリアは地上に車道を整備する一方、敷地全体に歩行者用のデッキを張り巡らせる。デッキは首都高・築地川区間まで伸ばす構想で、完成すれば再開発エリアと東京駅周辺を結ぶ歩行者の動線が生まれる。

再開発エリアの南には浜離宮恩賜庭園や竹芝埠頭がある。都は浜離宮庭園東側にある防潮堤の管理用通路を活用して竹芝埠頭まで歩けるようにする方針で、歩行者ネットワークはベイエリアにまで達する。

築地再開発は敷地の半分にあたる10万平方メートルをオープンスペースや水辺空間として活用する。中央区の吉田不曇副区長は「都有地は都民の財産だ。高級なホテルや住宅ばかりではなく、一般の人も利用できるようにすべきだ」と強調する。歩行者ネットワークも多くの人々が親しめる街づくりの一環だ。

外国人居留地や日本最初の洋風ホテルがあった築地はかつて東京の玄関口だった。新スタジアムは屋根を旧築地市場を模した扇形とし、土地の歴史をデザインに取り入れる。高橋氏は「シンガポールのマリーナベイ・サンズ、シドニーのオペラハウスのように扇形の屋根を見れば東京とわかるアイコンになってほしい」と期待する。

(安部大至)

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