Nikkei Online, 2023年8月8日 8:31更新
【ワシントン=中村亮】米紙ワシントン・ポストは7日、中国軍ハッカーが日本の防衛機密にアクセスしていたと報じた。米政府が2020年秋に見つけ、日本政府に伝えた。日本がサイバー防衛能力を高めないと、日米の情報共有に支障が生じる可能性があると指摘した。
ワシントン・ポストによると、米国家安全保障局(NSA)が日本で最も機密性が高い防衛関連のコンピューター網に中国軍ハッカーが侵入していると発見した。日本の軍事計画や戦力、軍事的欠点の分析といったあらゆる情報を標的にしたもようだ。
ポール・ナカソネNSA局長や当時のマット・ポッティンジャー大統領副補佐官(国家安全保障担当)が日本政府に中国のサイバー活動を説明した。21年1月にバイデン政権が発足したころにも、中国側は日本のネットワークに残り続けていたという。
元米軍当局者はワシントン・ポストの取材に中国による不正アクセスは「衝撃的なほどひどかった」と語った。
オースティン米国防長官は日本政府に対し、日本がサイバー能力を改善させないと高度な軍事作戦に必要なデータの共有を遅らせる可能性があると示唆した。
米国防総省の報道担当者は7日の声明で「同盟の近代化に向けた取り組みのもとで日米はサイバーを含むすべての領域で協力を強化している」と言及した。