米大統領選、今夜から投票開始 勝敗分ける激戦 7州


Nikkei Online, 2024年11月5日 14:00


郵便投票用紙に書かれたハリス氏とトランプ氏の名前(東部ニューヨーク州)=AP

【ワシントン=飛田臨太郎】米大統領選は5日朝(日本時間同日夜)、東部各州から投票が始まる。民主党のハリス副大統領と共和党のトランプ前大統領のどちらが勝つのか。決戦の日の行方を追いかけるための注目点をまとめた。

日本時間6日午前8時から順次開票、中西部など2州から

投票は日本時間5日午後7時から東部バーモント州など各州で順次、始まる。6日朝以降に投票を締め切り、即時開票される。

まず午前8時から中西部インディアナ州と南部ケンタッキー州の一部で開票が始まる。同9時をすぎると勝敗の予測が難しい激戦州の開票も進む。南部ジョージア州、次に同ノースカロライナ州、同10時以降に東部ペンシルベニア州や中西部ミシガン州と続く。


選挙人538人を争奪、うち93人の行方がカギ

米大統領選は全米50州と首都ワシントンに人口に応じて割り当てられた選挙人538人を奪い合う間接選挙だ。全米で得票率が高かった候補が勝つわけではない。

各州で1票でも多かった候補がその州のすべての選挙人を得る「勝者総取り」方式を採用する。過半数の270人に到達した候補が当選確実となる。

中西部ネブラスカ州と東部メーン州の2州のみ、州全体の勝者と各選挙区の勝者で割り振る。例えばネブラスカ州全体の得票率はトランプ氏が上回っても一つの選挙区だけでみるとハリスが勝った場合、トランプ氏が選挙人4人、ハリス氏が1人を得る。

両候補が事前の世論調査で優勢と判断されている43州と2選挙区でそれぞれ勝てば、ハリス氏が226人、トランプ氏が219人を確保する見通しだ。僅差で競っている激戦7州の残り93人の行方が焦点となる。

主要な世論調査を平均した政治サイト、リアル・クリア・ポリティクスによると、ハリス氏が4日時点で中西部ミシガン州、同ウィスコンシン州でわずかにリードし、その他の5州はトランプ氏がわずかに上回る。いずれも誤差の範囲内の差だ。

接戦なら時間かかる可能性

激戦州の結果は接戦になる可能性があり、すぐに勝敗が判明しない事態が想定される。米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)によると、西部アリゾナ州と同ネバダ州は勝敗判明まで数日かかる見通しだ。

郵便投票を含む期日前投票を済ませた有権者は8000万人を超えた。新型コロナウイルスの感染拡大で利用が急増した2020年からは減る見通しだが、16年の最終的な期日前投票数のおよそ1.7倍に達した。

郵便投票は開票の際に封筒から投票用紙を取り出し、署名と有権者の登録名簿を見比べるなどの手間がかかる。

2020年はバイデン大統領が当選を確実にしたのは4日後だった。今回も時間がかかる可能性もあるが、開票を速めるために新たな規則を取り入れた州があるため、必ずしも前回と同じような決着となるとは限らない。

NYTによると、ペンシルベニアは郵便投票の開票作業を夜中も止めないよう規則を改めた。ノースカロライナは郵便投票について投票日当日の消印を有効としていたが、今回は投票日当日までに届いたものを有効にした。