米政権、関税計算で代入ミスか 実際の税率は「4分の1」


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Nikkei Online, 2025年4月8日 14:35更新

トランプ米政権が税率の計算を間違えた可能性が高い(ワシントン)

【ワシントン=赤木俊介】トランプ米政権が「相互関税」の税率の計算式で代入を誤った可能性がある。米アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)の研究員が改めて関税率を計算したところ、実際の税率は発表された数値のおよそ4分の1ほどとなった。日本への税率は24%ではなく、一律の10%のみが適用されるはずだという。

AEIが4日発表した。米通商代表部(USTR)が公表した関税率の計算式では、分子を輸出額から輸入額を差し引いた数字(貿易収支の金額)として、分母は2つの係数と輸入額を掛け合わせたものとしている。

問題は分母で使われている係数にある。ひとつは、関税を課した場合の輸入価格の変動を表す数字で、USTRはこれを「0.25」としていた。もうひとつは輸入価格に対する輸入需要の弾性値で、これは「4」とされた。

「0.25」と「4」を掛け合わせると「1」となるため、計算式は事実上、貿易相手との取引で計上した赤字を輸入額で割っただけのものとなっている。米政権はこれをさらに半分に割り、各国・地域に適用する関税率として2日に公表した。

ところがAEIの研究員は係数のひとつについて、代入すべき数値は「0.25」ではなく「0.945」だと指摘した。政権は輸入価格ではなく「関税に対する小売価格の弾性値」を誤って代入したという。

政権が輸入価格の弾性値を説明するために引用した論文の共著者も同様に誤りを指摘する。バイデン前政権で財務次官補(国際金融担当)を務めたエコノミストのブレント・ニーマン氏は7日、米紙ニューヨーク・タイムズへの寄稿で「政権(の計算)は間違っている。政権の通商政策にも根本的に反対する」と述べた。AEIの分析と同様に、実際の税率は発表された数値の4分の1程度となるはずだと説明した。

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