イラン攻撃、ハメネイ師ら幹部集う
会議狙い奇襲 詳細な内幕明らかに

<<Return to Main

Nikkei Online, 2026年3月1日 22:10更新

2月28日に米軍が公開したミサイル発射時の様子=ロイター

米国とイスラエルによるイランの最高指導者ハメネイ師の殺害を巡り、米欧メディアは作戦決行に至るまでの内幕を報じた。トランプ米大統領がこの1週間で戦争に傾いた経緯も伝えた。

ハメネイ師の居場所や幹部が集まる会議の情報などをイスラエルが詳細に把握していたことが作戦遂行のカギとなった。

米アクシオスによると、作戦の発端は2025年12月。イスラエルのネタニヤフ首相が米南部フロリダ州パームビーチのトランプ氏の別荘「マール・ア・ラーゴ」を訪問した時だった。昨年6月の核施設などを対象にした攻撃を振り返った後、次は今年5月ごろにもイランの弾道ミサイルを標的にした第2弾の攻撃に踏み切ると話し合ったという。

ところが会談直後に状況が一変した。イランの複数都市で大規模な反政府デモがあり、参加者ら数千人以上が殺害された。これを受けてトランプ氏は中東地域へ原子力空母などを集結させ、イスラエルとの間で秘密裏に共同作戦の計画を始めた。

作戦に重要な役割を果たしたのが、イスラエルの対外特務機関モサドだ。数週間以内にモサドの長官が複数回にわたって米ワシントンを訪れ、今回の「エピック・フューリー(壮絶な怒り)」作戦の調整を進めた。

米国とイランは2月6日、昨年の攻撃以降で初めて核協議を開催。米は軍事行動に踏み切る可能性を示唆しつつ譲歩を迫ったが、議論は平行線をたどった。数日後、ネタニヤフ氏が訪米し、軍事攻撃の開始について協議した。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は米政府高官の話として、イランが中東地域の米軍施設などへ先制攻撃に出る可能性を把握したため、計画を早めたと伝えた。それでもトランプ氏は外交解決を望んでいた。

トランプ氏が戦争に大きく傾いたのが、オマーンが仲介役となって26日に開かれた3度目の協議後だ。「最後のチャンス」とも報じられたが、突破口が見いだせなかった。

協議に臨んだトランプ氏の娘婿クシュナー氏とウィットコフ中東担当特使にとってはハメネイ師が描く世界観がトランプ氏の中東ビジョンと共存する余地がなかったという。

直後、オマーンのバドル外相は強い危機感を抱いた。急きょワシントンに赴き、バンス米副大統領と会談して攻撃の最終決定を遅らせようと試みた。だがトランプ氏は攻撃を決断していたとみられる。

28日、米とイスラエルは3カ所で開催されていたイラン政府高官らが集まる会議に対し、同時に空爆を開始した。最初に狙ったのがハメネイ師だ。攻撃後に雲隠れすることを懸念し、ハメネイ師を含む指導部が集まる場に一斉攻撃をしかけた。

米国とイスラエルによるイランへの攻撃で首都テヘランでは煙が立ち上った=ロイター

ロイター通信は当初、会議が28日夕に開催される予定だったが、イスラエルの情報機関が同日朝への変更を把握し、攻撃開始を早めたと伝えた。

ハメネイ師は自分の居場所が発覚しないようかなり慎重になっていた。普段から地下施設に身を隠し、面会時は相手に目隠しなどをさせたうえで移動させていたとされる。側近に対しても気を抜くことはなく、同様に対応していた。

ところがイスラエル側は詳細にハメネイ師の居場所や動きを把握していた。こうした情報が正確な攻撃につながった可能性がある。

<<Return to PageTop