Nikkei Online, 2023年2月12日 10:14更新
【ニューヨーク=大島有美子】カナダのトルドー首相は11日、カナダの領空を侵犯した物体の撃墜を命じ、米軍機が撃墜に成功したとツイッターで発表した。物体がどこから飛来してきたかは現時点で不明。今後、カナダ軍が物体の残骸を回収し分析する。
米東部時間11日午後(日本時間12日午前)にトルドー首相とバイデン米大統領が電話で話し、カナダと米国が共同運営している北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)が出動した。トルドー首相によると、米アラスカ州に隣接するカナダ北西部のユーコン上空を飛行していた物体を撃ち落とした。
米国防総省のライダー報道官は声明で、NORADが10日夜遅くに米アラスカ州の上空で同物体を探知したと明らかにした。米軍機が監視・追跡し、物体がカナダ上空に入った後はカナダ軍の戦闘機も監視に加わった。
米ホワイトハウスの声明によると、バイデン大統領とトルドー首相が「慎重を期したうえ、それぞれの軍の進言により、物体の撃墜を許可した」。バイデン米大統領がNORADに所属する米軍機に作戦を実行する権限を与え、米軍のステルス戦闘機F22が空対空ミサイル「サイドワインダー」を発射して撃ち落とした。物体はカナダ軍が回収し、両国は分析で連携している。
バイデン氏とトルドー氏は「領空を探知、追跡、防衛するための緊密な連携を継続する」(ホワイトハウス声明)とした。オースティン米国防長官とカナダのアナンド国防相も11日に電話で話した。カナダのアナンド氏はツイッターに「ともに我々の主権を守っていくことを再確認した」と投稿した。
米軍は4日、米南部サウスカロライナ州沖の大西洋上空で中国の偵察気球を撃墜した。10日には米アラスカ州の上空高度約4万フィート(約1万2000メートル)を飛行していた物体を撃墜した。物体の詳細は明らかになっていない。