Nikkei Online, 2023年7月8日 8:49
【イスタンブール=木寺もも子】ウクライナのゼレンスキー大統領は7日、トルコのイスタンブールを訪問し、エルドアン大統領と会談した。エルドアン氏はウクライナが将来的に目指す北大西洋条約機構(NATO)への加盟を支持する考えを示した。
トルコはロシア、ウクライナの双方と良好な関係を維持しており、ウクライナ産の穀物を輸出するための黒海穀物合意などを仲介してきた。ゼレンスキー氏のトルコ訪問はロシアによる侵攻後で初めて。
エルドアン氏は8日未明に開いた共同記者会見で、「ウクライナがNATO加盟資格を持つことは疑いない」と述べ、ウクライナの加盟を支持した。もっとも、ロシアと戦争状態にあるウクライナがただちに加盟するめどは立っていない。
声明などによると、両首脳は会談で、黒海を通じてウクライナ産の穀物を安全に輸送するための穀物合意の期間延長について協議した。ロシアが難色を示し、今月17日にも終える可能性を示唆している。
エルドアン氏は「穀物合意の延長はとても重要だ」と述べ、少なくとも3カ月ごとに延長されるべきだとの考えを示した。ロシアのプーチン大統領が8月にもトルコを訪れると明らかにした。ただ、具体的にどうロシアに働きかけるかは明確にしなかった。
ゼレンスキー氏はトルコの仲介努力に謝意を示したうえで、ロシアが穀物回廊の物流を妨害しようとしていると非難。「アジア、アフリカなどの多くの人々の食料安全保障がこの枠組みにかかっている」と継続の重要性を訴えた。
ゼレンスキー氏によると、トルコとの間で防衛産業やドローン製造で協力を強化するなどの合意を結んだ。トルコはこれまでもウクライナに対してドローンなどを輸出してきた。