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Source: Nikkei Online, 2024年10月18日 7:03更新

【イスタンブール=渡辺夏奈】イスラエル軍は17日、イスラム組織ハマスの最高指導者ヤヒヤ・シンワール氏を殺害したと発表した。パレスチナ自治区ガザでハマスの掃討を続けてきたイスラエルのネタニヤフ政権にとっては大きな戦果となる。

イスラエル軍のハガリ報道官は同日、「約1年の捜索の末、テロ組織ハマスのリーダーは死亡した」と話した。シンワール氏は16日、ガザ南部で殺害されたという。

シンワール氏は2023年10月7日のハマスによるイスラエル襲撃の首謀者とされ、イスラエル軍が行方を追っていた。ガザ地下のトンネルに潜伏しているとみられていた。

イスラエル軍が破壊された建物にいるシンワール氏を発見した。同軍が公表したドローンの映像には椅子に座り、ドローンに木の棒を投げつけて抵抗するシンワール氏の様子が映っている。発見時、シンワール氏は回転式拳銃と4万シェケル（約160万円）を持っていたという。

軍によると発見時、シンワール氏のそばに人質はいなかったという。シンワール氏は昨年10月に捕らえた人質を周囲に置き、イスラエルが攻撃できないようにしているとの見方があった。軍は作戦により、人質の犠牲が出なかったことを強調した。

シンワール氏の殺害を受け、ネタニヤフ首相は17日、「悪（ハマス）は打撃を受けたが、我々の任務は完了していない」と述べた。ハマスの壊滅と並んでガザでの軍事作戦の目標に掲げる人質の奪還を達成するまで「全力で攻撃を続ける」と訴えた。

これに対し、人質の家族団体は同日「敵の殺害だけでは十分でない」との声明を出した。ガザに捕らわれたままの人質は現在も100人を超え、一刻も早い人質の奪還を求めた。

ハマスは17日時点でシンワール氏の安否についてコメントしていない。

シンワール氏はハニヤ前最高指導者の死亡を受け、8月に後任として選ばれた。ハニヤ氏は7月末、イランの首都テヘランで死亡した。ハマスや、ハマスを支援するイランはイスラエルによる暗殺だとしている。

ハマスは1年以上にわたるイスラエル軍との戦闘で多数の幹部を失った。イスラエルは7月にシンワール氏と並んでイスラエル襲撃を首謀したムハンマド・デイフ氏を殺害した。

新たにシンワール氏の殺害が確認されたことで、組織の弱体化が一層進むのは避けられない。トップを失ったことで戦闘員の士気が下がる可能性もある。