Source: Nikkei Online, 2024年10月19日 4:15
【ドバイ=福冨隼太郎】パレスチナ通信は19日、パレスチナ自治区ガザ北部ジャバリヤでイスラエル軍の空爆があり30人以上が死亡し、50人超が負傷したと報じた。イスラム組織ハマス幹部は18日、同軍がガザから撤退しない限り人質を解放しないと表明した。ハマス最高指導者のシンワール氏殺害で戦闘は節目を迎えたが、双方の対立は続いている。
イスラエル軍は17日にシンワール氏の殺害を発表した後もガザでの作戦を継続している。18日の声明では、ガザ北部で活動する部隊を支援するため別の部隊が合流したことも明らかにした。
パレスチナ通信によると、18日にはイスラエル軍の無人機が北部ガザ市を攻撃し民間人4人が死亡した。別の地区でも同軍の砲撃で2人が死亡した。
ハマス政治部門幹部のハイヤ氏は18日、テレビ演説でシンワール氏の死亡を認めた。イスラエル軍がガザでの攻撃をやめて撤退するまで「人質は戻らない」と述べ、イスラエルとの戦闘を続ける考えを強調した。
ガザではハマスによって約100人の人質が拘束されている。イスラエルのネタニヤフ首相は17日のテレビ演説で、人質の解放が実現すれば「戦闘が終わりに近づく」との認識を示していた。
ハマスはイスラエルとの1年以上にわたる戦いで幹部や戦闘員を相次いで失った。シンワール氏の殺害は弱体化が進む同組織にとってさらなる打撃となる。イスラエルへの強硬姿勢で知られた同氏の死で停戦に向けた機運が高まるとの見方も出るが、交渉の進展は見通せない。
ハマスを支援するイランのペゼシュキアン大統領は18日、シンワール氏の殺害について「シオニスト(イスラエル)の犯罪だ」と非難した。同氏を「最後まで勇敢に戦った英雄だ」と称賛。イスラエルとの戦いは終わらないとも強調した。イランメディアが伝えた。
一方、バイデン米大統領とショルツ独首相、英国のスターマー首相、フランスのマクロン大統領は18日、ドイツ・ベルリンで会談した。パレスチナ自治区ガザでの戦争を巡って、シンワール氏の殺害が早期停戦に与える影響とハマスが拘束する人質解放の緊急性について討論した。
ショルツ氏は「ガザの停戦とハマスが拘束する人質解放の具体的な見通しが開けると期待している」と述べたが、バイデン氏は米国への帰国前に独メディアの取材に応じ、ガザの停戦合意について「(イランや)レバノンよりも困難になるだろう」と述べ、厳しい見方を示した。