Source: Nikkei Online, 2025年2月24日 2:03
【ベルリン=南毅郎】ドイツ総選挙が23日投開票された。公共放送ARDによると、最大野党の保守陣営「キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)」が首位を確実にした。極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が第2党に躍進し、ショルツ首相が率いる与党の中道左派ドイツ社会民主党(SPD)は大敗の見通しだ。
「苦い選挙結果だ」。最初の開票予測が伝わった23日夜、ショルツ氏は支持者らを前に早々にSPDの敗北を認めた。第1党が確実なCDUのメルツ党首は「我々は選挙に勝利した!」と喜びを語り、次期政権の早期樹立に意欲を示した。
ARDの開票直後の予測によると、政党別の得票率は、メルケル前首相がかつて率いたCDU・CSUが29.0%と前回2021年から4.8ポイント伸びる見込み。反移民などを掲げるワイデル共同党首のAfDは得票率をほぼ倍増させ、20%近くを確保する勢いだ。
与党はSPDが前回から9.7ポイント落ち込み、16.0%にとどまる。連立を組む環境政党「緑の党」は13.5%で1.2ポイント減だ。予算協議を巡る対立で連立政権を抜け出した自由民主党(FDP)は4.9%で、選挙で決められた議席獲得に必要な5%の条件に届かない恐れがある。
単独過半数に届く政党はない見通しで、CDU・CSUが政権を握るには連立相手が必要になる。CDUのメルツ党首はAfDとの協力は全面的に否定しており、現時点ではSPDとの「大連立」が有力視される。
国民の関心も高かった。ARDは23日投開票のドイツ総選挙に関し、投票率が84%になる見通しだと報じた。2021年の前回から7ポイント超上昇し、1990年の東西統一後で最も高い水準になる見込みだ。
主な争点は移民対策や経済政策に集中した。不法移民による民間人を狙った襲撃事件が頻発し、国民の間で反移民感情が高まった。移民排斥を前面に押し出すAfDが不満の受け皿となった。2年連続でマイナス成長となった経済への不満もAfDを後押しした。
前回2021年の総選挙で盛り上がった気候変動対策は大きな争点にならなかった。ロシアの侵略が長引くなか、米国が停戦交渉を探るウクライナへの関心も急低下した。
今回の総選挙は日本の衆議院にあたる連邦議会(下院)の議員を選んだ。予算協議の破談でショルツ連立政権が24年11月に瓦解し、異例の前倒し選挙が決まった。任期途中の解散総選挙としては、シュレーダー政権の05年以来およそ20年ぶりになる。