ドイツ首相「イスラエルが我々のために汚れ仕事」
 イラン攻撃を称賛

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Source: Nikkei Online, 2025年6月18日 3:21

メルツ首相はイスラエルとイランの双方に自制を呼びかけていた=ロイター

【ベルリン=南毅郎】カナダで開催中の主要7カ国首脳会議(G7サミット)に参加しているドイツのメルツ首相は17日、イランを攻撃したイスラエルが「我々のために汚れ仕事をしてくれている」と述べた。軍事衝突の緊張緩和を求めて両国に自制を呼びかけてきたが、一転してイスラエル寄りの姿勢を示した。

独公共放送ZDFとの現地インタビューで語った。メルツ氏はイランが「世界に死と破壊をもたらした」と批判し、イスラエルに対しては「今回の行動をとる勇気を持ったことにただ敬意を表する」と称賛した。

メルツ氏はイスラエルによるイランへの核施設攻撃を踏まえ、13日の声明で「事態の悪化に拍車をかけ、地域全体を不安定にさせる行動を控えるよう求める」と両国に自制を求めていた。

ドイツは第2次世界大戦でナチスによるユダヤ人虐殺を許した反省から、イスラエルへの支持を「国是」と定めてきた経緯がある。

ただ多くの民間人が犠牲になっているパレスチナ自治区ガザへの攻撃で軌道修正を迫られており、ドイツ世論もイスラエルの行動に批判を強めている。メルツ氏は5月下旬にイスラエルによるガザ攻撃を「理解できない」と批判しており、発言が揺れている。

G7首脳は中東情勢を巡る共同声明を出し、イスラエルの自衛権を確認するとともにイランの核保有を認めない方針を明確にした。今回の攻撃を巡り日本は石破茂首相が13日に「到底許容できるものではない」と非難している。

メルツ氏は5月にドイツ首相に就任し、G7サミットに参加するのは今回が初めて。これまで失言が多いことでも知られ、物議を醸す発言を度々している。

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