[社説]脱炭素はエネ・環境と産業の戦略一体で

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    Nikkei Online, 2025年2月22日 19:05

データセンターなどの産業拠点を脱炭素電源の近くに集積させる(北海道・石狩湾新港の洋上風力発電)

政府は並行して議論してきた「エネルギー基本計画」と「地球温暖化対策計画」「GX(グリーントランスフォーメーション)2040ビジョン」の3文書を閣議決定した。

脱炭素の潮流はエネルギー転換にとどまらず、産業構造や国民生活を変える。エネルギーの安定供給と脱炭素、経済成長を同時に実現するため、エネルギー・気候変動政策と産業政策にかかわる戦略を一体で整えることは重要だ。これを実効性ある具体策につなげていかなければならない。

エネルギー基本計画はエネルギー政策の、温暖化対策計画は気候変動政策のそれぞれ中長期の指針となる。これに加えて今回、脱炭素時代に向けた産業競争力の土台と位置付けるGXビジョンを策定したのは妥当だ。

前提となるのは脱炭素電源の最大化だ。エネルギー基本計画は温暖化ガスを出さない再生可能エネルギーと原子力発電を最大限活用すると書き込んだ。電源に占める再生エネは足元で23%、原子力発電の比率は1割に届かない。基本計画は40年度に再生エネを4〜5割程度、原発は2割程度とする目標を定めた。

実現は簡単ではない。再生エネと原発の比率をともに2倍に高める必要がある。原発は建設中を含め国内にある 36基の原発のほとんどを稼働させる計算だ。政府は再生エネの導入を強力に後押しするとともに、原発の再稼働や建て替えの前面に立って立地地域の理解を得なければならない。

地球温暖化対策計画は35年度に13年度比60%、40年度に73%の温暖化ガス削減を定める。政府は温暖化対策のパリ協定に沿い、新たな削減目標を国連に提出した。脱炭素電源を増やせなければ国際的に約束した責任も果たせない。

データセンターや半導体工場の増加など、経済のデジタル化の進展により電力需要の増大が見込まれる。GXビジョンは電力を大量に使う産業拠点を、原発や風力発電など脱炭素電源の近接地に集積させる方針を打ち出した。

海外の巨大IT(情報技術)企業は、データセンターの新設に脱炭素電源の利用を条件とするケースもある。政府は電源の近接地に進出する企業に補助金や税優遇、電気料金の補助などの支援策を検討する。電源のある地域へ企業進出を促し、地域経済の活性化につながることを期待したい。