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Nikkei Online, 2025年11月14日 11:01
世界の広大な地域で今、深刻な乾燥がすすんでいる。日本経済新聞社は欧州中期予報センターのデータベースをもとに、約40年間におよぶ全世界の土壌に含まれる水分量を分析。2000年代に入り、世界の広大な地域で急速に乾燥が進んでいることが分かった。取材班は歴史的な干ばつに見舞われている米南西部・アリゾナ州をルポ。多くの研究者が「メガ干ばつ」と呼ぶ現場の実態に迫った。
7月中旬、先住民族のナバホ族が暮らすナバホ・ネーション(同州北部)では、雨が期待できる季節にもかかわらず大地は乾ききっていた。コロラド川流域の土壌水分量は約40 年間でおよそ2割減少していた。人による水の大量消費も問題になっている。同州南部の牧草地帯では過剰くみ上げによって、過去20年間で約35立方キロメートル(琵琶湖の貯水量の約1.2倍相当)の水量が帯水層から消失していた。米国の牧草に依存している日本の畜産業の持続可能性にも影響が出ることが懸念されている。
干ばつは投資マネーも呼び込んでいる。コロラド川の用水権と地下水が狙われ、投資会社が川沿いの土地を購入。昨年7月にはニューヨークの投資会社まで進出し、地域には混乱が広がっている。
遠藤啓生 朝田賢治 早瀬ナオミ 有年由貴子 遠藤彰 大須賀亮 槍田真希子 矢田典隆

世界では2000年代以降、広範囲で急速に乾燥化が進む。
近年の北米で、平年より土壌水分量が低下した地域を赤色で表現した
近年の北米で、平年より土壌水分量が低下した地域を赤色で表現した