政府統計、8割がデータ検索できず
 縦割りが浮き彫り

Nikkei Online, 2021年9月1日 19:08


会計検査院は政府統計の不備を指摘した

会計検査院は1日、公的統計に関する検査結果を国会に報告した。 政府統計のポータルサイトで検索やデータ抽出機能が使えない統計が全体の8割の627に上った。 縦割り行政の弊害が統計でも浮き彫りになった。 公的データを国民が使いやすい仕組みに整える改革を迫られている。

厚生労働省による毎月勤労統計の不適切処理を受け、全省庁の統計業務を検査した。政府の基本計画ではすべての統計は政府統計の窓口サイト「e-Stat」に登録するのを原則とする。

会計検査院によると単にエクセルなどのファイルを載せただけで検索機能などが使えない統計が600を超えた。有効求人倍率などを掲載する厚労省の一般職業紹介状況など、注目度の高い統計でもe-Statの機能が十分に生かせない状態にある。

財務省の「租税特別措置の適用実態調査」など登録していない統計も281あった。各省のホームページではデータを公表しているが、全省的なサイトでは閲覧できない。各省は掲載について「現在対応中」だという。

政府の統計改革に携わってきた政策研究大学院大学の西村清彦特別教授は、日本は各府省が独自の統計部局でデータを作成しているため縦割りに陥っていると指摘。「政府の統計委員会が司令塔となり省庁間の横の連携を強化すべきだ」と強調する。

会計検査院は労働力調査など4府省の8統計で計画と異なる調査方法をとっていることも明らかにした。本来は調査員が回収すべきなのに一部を郵送で受け取っていた。 第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミストは「手続きに関する職員の認識の甘さがある。不正につながりかねず、早期に改善すべきだ」と話している。