IBMやGoogleなど、日米の大学に290億円
量子・半導体

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Source: Nikkei Online, 2023年5月21日 16:55

半導体人材を巡る日米協力でマイクロンのCEO(右から3番目)、東京エレクトロン・河合利樹社長(同4番目)
らが調印式に出席した(21日、広島市)

日米の企業・大学が、半導体と量子コンピューターの教育、技術開発に合計2億1000万ドル(約290億円)以上を投資すると21日、発表した。半導体分野では米マイクロン・テクノロジー東京エレクトロンが、日米の11大学と提携し教育プログラムを共同で整備。量子分野では米IBMと米グーグルが、それぞれシカゴ大学と東京大学に資金を拠出する。

広島市内のホテルで開かれた日米政府の教育に関する協力覚書の調印式で、産学協力の内容が公開された。調印式には、日米の企業や大学のトップが参加し、各分野の提携に関する文書が交わされた。

半導体分野では、マイクロン、東京エレクトロンと、東北大学、バージニア工科大学など日米11大学が提携する。今後5年で計6000万ドル以上を投じ先端教育のカリキュラム策定などに取り組む計画だ。年5000人の学生が恩恵を受けるとしている。マイクロンのサンジェイ・メロートラ最高経営責任者(CEO)は「大学と一緒にカリキュラムを作り、今後数カ月かけ進化させていく」と語った。

量子分野では、IBMがシカゴ大と東大に今後10年で1億ドル、グーグルが両校に10年で最大5000万ドルの資金を出す。IBMのアービンド・クリシュナCEOは高性能な量子コンピューターには「通信、材料、エレクトロニクスや制御に関する問題など、多くの進歩が必要」と指摘。日米の大学との協力で技術的な課題解決や人材育成にあたるとした。

日米政府の間では、教育に関する高官級の対話を毎年実施する計画だ。調印式に出席した米国のブリンケン国務長官は、日米の科学技術を巡る協力が「両国の国家と経済の安全保障のためにできる最も賢い投資の一つ」とし「テクノロジーに関するルールや規範を形成することも可能になる」との展望を示した。

 

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