中古スマホ「認定品」快調
 型落ちでも高品質に支持

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Source: Nikkei Online, 2023年7月4日 5:00


近年の新型スマートフォン(スマホ)の高価格化を受けて人気上昇中の中古スマホ。中でも存在感を高めているのは大手携帯電話会社が「○○Certified(サーティファイド)」などと名付けて近年販売している商品だ。携帯大手が商品品質を認定するという安心感が売りで、中古スマホを初めて購入する人に向いている。商品によっては新品より2割以上安いことも消費者にとって魅力的だ。

新品より割安

「2022年3月に参入してから販売台数は右肩上がりだ。『型落ち品でもいいから、見た目がきれいな値ごろ感のあるスマホが欲しい』というニーズは非常に強い」。NTTドコモが販売している中古スマホ「docomo Certified(ドコモ・サーティファイド)」の売れ行きについて、同社の岩本和久営業本部アフターマーケットビジネス部長はこう話す。

ドコモ・サーティファイドはNTTドコモが調達した中古スマホから、見た目がきれいで動作に問題ないものを選別した商品だ。端末のメモリー消去やクリーニングを経て検品担当者が外装の傷や汚れの程度をチェックし、カメラやタッチパネルなどの動作を確かめる。改造を施していないかどうかも専用ツールで確認する。様々な検品工程を通過した端末に限りオンライン販売し、一部の携帯電話ショップでも取り扱う。

値付けは本体の傷や汚れの度合いに応じて異なり、「ランクA+(Aプラス)」から「ランクA」「ランクB」までの3段階を設けている。米アップルの「iPhone 12 mini」(64GB)はAプラスで6万6千円と、20年に発売した当初の価格に比べ25%ほど安い。ランクAでは6万500円、ランクBになると5万5千円に下がる。

大手の安心感、購買層広げる

中古スマホ市場で従来流通してきた商品は主に2種類ある。1つは中古ショップが一般の利用者から買い取って販売する端末。もう1つはメーカーが初期不良などで回収した端末に必要な修理や検査を施して再出荷する「リファービッシュ(整備済み)品」だ。

ドコモ・サーティファイドもリファービッシュ品に似ているが、全国約2200店舗の携帯ショップなどを通じて下取り・回収した膨大な端末から選別する点が異なる。同社の中古端末の回収台数は年間約300万台に及ぶ。その中から検品合格率1%未満という厳しい基準で高品質の中古品を選び出しているという。

ドコモ・サーティファイドと同様の商品をKDDI(au)が20年から、ソフトバンクも22年からオンラインショップで取り扱い、それぞれ一定の需要を獲得している。一因は半導体不足や流通コストの高騰、円安の影響などに伴うスマホの価格高騰だ。加えて近年のスマホは高速通信規格「5G」への対応が一巡し、新製品と型落ち品の基本性能に大きな差がなくなりつつある。こうした背景から、これまで中古品を購入しなかった層が携帯大手の認定中古品を視野に入れるようになったわけだ。

格安スマホ事業者も「認定品」の品ぞろえを強化している。特に人気を集めているのはインターネットイニシアティブ(IIJ)が取り扱う「未使用品」だ。例えばアップルが22年3月に発売した現行機種の「iPhone SE(第3世代、64GB)」の未使用品は4万9980円。アップルのオンラインストアでの販売価格に比べて2割強安い。

IIJによると未使用品は「検品のためシュリンクパックが剝がされている場合があるが、使用された形跡がない点を社内で確認済みの商品」といい、実質的には新品同様だ。ただし「メーカーの指定する代理店以外の流通事業者から調達しているため『古物』に準じる商品と位置づけている」(IIJ)という。海外市場向けの商品が並行輸入され、流通過程で余剰在庫になったものが含まれているもようだ。

注目度上昇、在庫は流動的

中古スマホ市場は急成長が続く。調査会社のMM総研(東京・港)によれば21年度の国内販売台数は前年度から約15%伸びて212万台と過去最高だった。22年度は241万台(13.7%増)、26年度には342万台(6.9%増)に拡大すると予測している。認定中古品や未使用品の広がりが、中古市場全体を押し上げている。


もっとも在庫薄になりがちで、選べるモデルが時期によって変わるのは消費者には悩みの種だ。NTTドコモは「(認定中古品について)売り切れ状態の機種でも一定の在庫を確保できれば販売を再開する。オンラインショップを定期的に確認しているうちに、欲しいモデルが見つかるかもしれない」と話す。

(高槻芳)

選択肢、iPhone以外にも

携帯大手の認定中古品はiPhoneが大半だった。6月時点では、NTTドコモがソニーの「Xperia(エクスペリア)」やシャープの「AQUOS(アクオス)」、韓国サムスン電子の「Galaxy(ギャラクシー)」を販売しており選択肢が広がっている。IIJの未使用品にはiPhoneだけでなく米グーグルの「Pixel(ピクセル)」もある。


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