Source: Nikkei Online, 2023年11月28日 5:00
ではどんな職種が、高い報酬を提示されるのだろうか。パーソルキャリアによると、オファー条件の報酬が高いのはITコンサルタントやプロジェクトマネジャーなどで、フリーランス市場も転職市場と傾向は同じだ。 職種以外にITエンジニアを特徴付けるものと言えば、どのプログラミング言語を習得しているかだろう。 パーソルキャリアの副業/フリーランス向けサービス「HiPro Tech(ハイプロテック)」の調査では、習得しているプログラミング言語別のITフリーランスエンジニアの平均月額単価を見ると、最も高かったのはRuby(ルビー)で88万3789円だった。以下、TypeScript(タイプスクリプト)、Swift(スウィフト)、Python(パイソン)といった言語が僅差で並んだ。いわばこれらが「稼げるプログラミング言語」である。
(出所:パーソルキャリア)
トップ10を見ると、ウェブサービスやモバイルアプリなどで使われることが多いモダンな言語が並んでいる。ネットサービスやDX向けの開発を担うエンジニアが人気と言える。一方、基幹系システムで使われることの多いJava(ジャバ)は12位、COBOL(コボル)は20位にとどまる。 この理由についてパーソルキャリア広報は「フリーランスは業務委託で仕事することが多いが、業務委託で入れる案件にCOBOLエンジニアなどを必要とするものは少ない。客先に常駐する場合は業務委託を使わない職場が多い」と言う。発注企業が偽装請負に疑われるリスクを避けるためだろう。 一方の転職市場では全く結果が異なった。習得している言語別にdodaに登録しているITエンジニアの平均年収を見ると、1位は独SAP製品向けの言語であるABAP(アバップ)だった。いかにSAP製品の導入や更改案件でABAPエンジニアが必要とされているかが分かる。2位はRだった。こちらはデータ分析のニーズを反映していそうだ。
(出所:パーソルキャリア)
1位のABAPと2位のRはともに、使えるエンジニアの希少価値が高いという共通点がある。全登録者のうち、ABAPを使えると申告しているエンジニアの割合は0.8%、Rは0.5%だ。絶対数が少ないにもかかわらず、求人が増えているため報酬が高くなるというわけだ。 逆に習得している割合の最も多いJavaは、初心者など単価の低いエンジニアも含まれるため、転職市場における言語別の平均年収で見ると低くなるという。 実際に転職したりフリーランスに転向したりする予定がないエンジニアも、自身が取り組んでいる言語の市場価値を意識してみるとよいだろう。スキルアップのモチベーションにつながるはずだ。(日経クロステック/日経コンピュータ 矢口竜太郎)