東京都、30年までに新車販売すべて電動車に

知事が目標

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Nikkei Online, 2020年12月8日 15:31更新


世界的に「脱ガソリン車」の機運が高まるなか、
東京都が取り組みを強化する

東京都は2030年までに新車販売を全てハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)などの電動車に切り替える。ガソリンエンジンだけで動く新車の販売抑制を国よりも約5年前倒しで実施し二酸化炭素(CO2)の削減につなげる。車の保有台数で愛知県に次いで全国2位の都の「脱ガソリン車」方針は、自動車メーカーの開発戦略にも影響を及ぼす。

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小池百合子知事が8日に都議会で発表した。

これまで都は30年までに新車販売の50%をEVなどにする目標を掲げ、1台あたり30万円の購入費用の補助などに取り組んでいた。世界的に脱ガソリン車の機運が高まるなか、小池氏は「大都市の責務だ」と強調。さらに目標を厳しくし、都内でのガソリン車の新車販売を30年までにゼロにする考えを示した。

対象となるガソリン車にはモーター駆動の機能を持つHVは含まれない。電動化が難しい二輪車は35年までにゼロとする。都は条例の改正ではなく業界団体などへの「要請」を通じてメーカーなど関係企業に対応を求める。罰則などはないが、社会全体での脱炭素の機運拡大につながる。

今後、求められるのは政策実現に向けた企業の取り組みだ。

自動車検査情報登録協会によると20年8月末時点での都の自動車保有台数は440万台と全国2位。19年の国内新車販売台数(トラック、バスを除く)のうちガソリン車は6割超の278万9千台を占めており、東京都だけでもガソリン車は17万台程度が売られているとの試算がある。巨大な市場で車が電動化に向かえば脱炭素への効果も大きい。

トヨタ自動車は「25年ごろまでには全新車に(HV含めた)電動車の機能を設定する」としている。日産自動車も23年度までに国内の電動車比率を6割にする計画。それでもある自動車メーカー幹部が「30年までにガソリン車ゼロは間に合わない」と漏らすなど、現時点でのハードルは高い。

特に電動化の技術をほとんど持たない軽自動車メーカーには負担が大きい。国内販売シェア4位のダイハツ工業の場合、主力の軽自動車では現在のところ純ガソリン車しかない。同社は「(親会社の)トヨタの知見を生かして、まずは低価格帯のHVの開発を急ぐ。将来的にはEV開発にも取り組む」としている。

厳しい規制は技術開発を進める側面もある。03年には当時の石原慎太郎都知事が「ディーゼル車が有害物質をまき散らしている」と訴え排ガス規制を強化した。トラックを中心に自動車業界の規制への反発も強かったが、いすゞ自動車は新しく窒素酸化物(NOx)の排出などを抑えたエンジンを開発。日野自動車もディーゼルと電気のハイブリッドのバスを改良し環境負荷を低減させた。

30年のガソリン車の販売禁止は世界では英国が掲げている。米カリフォルニア州や中国は35年を目標年と定めている。都の方針は政府が検討する「30年代半ば」の目標よりも先を行く形になるが、小池氏は「世界の潮流をけん引する」と意義を強調した。