中古スマホ、おかしな利用制限
 総務省がルール議論

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Source: Nikkei Online, 2024年2月26日 5:00


店頭に並ぶ中古スマートフォンの値札にあるこんな表記に総務省が関心を強めている。

 「ネットワーク利用制限▲」

都内では米アップルの最新機種「iPhone15ProMax」で見かけた。店員に聞くと「元の持ち主が携帯電話会社から割賦で購入した端末で、残った支払いが滞るとその会社の通信回線が使えなくなるという意味です」と説明してくれた。

中古端末のユーザーが、元の持ち主と同じ携帯電話会社と契約すると使えなくなる可能性がある。「他の会社の回線で契約すれば使える」といい、通常の製品よりも1万円安く販売していた。

「ネットワーク利用制限」は携帯電話会社の自主的な取り組みだ。NTTドコモは携帯電話が犯罪に利用されるのを防ぐために導入している。2016年には転売を目的とした不正契約を防ぐ目的で、分割払いで購入した携帯端末も、未払いの恐れがあるとして利用制限で「▲」とする扱いに変えた。

21年のSIMロックの原則禁止により他の携帯会社では使えるようになり、本来意図した制限の有効性は下がっている。

総務省が着目するのは実効性が薄れているのに、中古スマホの流通を妨げる要因になっているとの指摘があるためだ。割賦の未払いは元の持ち主の問題で、中古スマホを買う人が困るのはおかしい。

同省が設けた携帯電話市場に関するルールを議論する有識者会議は1月下旬に「利用者の利益を確保するため、利用制限が許されるケースは極力限定することが必要だ」との見解を示した。

3月にも、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルに実施件数や理由、中古品の購入者が適切に通信料金を支払っていても通話や通信を制限される現状をどう考えるか、など聞き取りを始める。今夏に報告書をまとめる。

業界団体のリユースモバイル・ジャパン(RMJ)は、利用制限の廃止を求めている。RMJの調査では22年度の利用制限端末は6900件ほどで、23年度も半期で3800件を超えた。会員企業に対するアンケートでは、94%がネットワーク利用制限のあり方を課題にあげた。

スマホは新品の価格が上がり、中古品の市場が右肩上がりで拡大している。MM総研によると22年度のスマホ市場は中古が前年度比10%増の234万台と過去最高となり、新品販売台数の8%に達した。

存在感を高める中古スマホを巡るルール作り。利用者の目線が重要になる。

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